Cashew books

本を貪るのは好物のカシューナッツを食べるのに似ている

漢検1級(R1-2)の感想

 日曜は漢検だったが、土曜の朝から台風の影響で緊急の仕事が入り、その仕事に追われた。漢検直前まで仕事に追われて、本番も仕事着のまま向かうこととなった。

 試験の出来はともかくとして、試験問題の教養的なバランスがとれていることに驚いた。「塵天劫」「打成一片」は仏教、「巫覡」は日本古来の信仰、「阿僧祇」は数字、「壬戌」はお馴染みの干支関連など、特定のテーマに偏ることなく、多岐にわたって上手く出題されていたように感じた。(先日、ブログで学研の新書サイズの辞典を紹介したが、何問か出題されていた。この辞典、かなり漢検対策になる一冊だと思う。)

 それと、「奥津城」の類義語で「青山」。(奥津城は、たしか鏡花の小説を読んでいたときに出てきた憶えがある。何の小説かは忘れた。)こういう問題が1級で出せることに、感動すら覚えた。私は「青山」は正答できなかったが、そんな悔しさが吹っ飛ぶくらい、この問題が出たことに驚いた。(何てったって、青・山どちらも、10級配当漢字ですよ…!)この奇問、おそらく正答率は低いだろう。小学生でも読める簡単な言葉にもかかわらず、奥深く難解な世界がひろがっている。たとえば、「魑魅魍魎」などの難しい漢字をすらすらと書く技術が求められる一方、こういう死角を突く問題にも対応するセンスが求められるということなのかもしれない。

 そういえば、「当て字」の「するすみ」(「漢検2」索引外)を奇跡的に答えることが出来たが、これは単にSNSでのニックネームの一部だからということである。たまたま知識としてあっただけのことだった。一方で、「列卒」(せこ:索引外)の方は答えられなかった。違うと解っていながら、「レーニン」と解答した。索引を正確に暗記するのは必須だが、その索引外のところにも意識的に関心を持って臨まなければいけないと再認識した。