万有回

主に趣味の読書について綴っていければと思います。「昭和の残り滓」といわれる世代。

Backstube Zopf@松戸

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 ハード系のパンとの出逢いは、小学生の頃だった。東京の親戚が買ってきたバゲットをトーストしてバターを塗って食べたところ、余りの美味しさに衝撃を受けた。やや焦げめのクラスト、もっちりしっとりとして弾力のあるクラム、鼻から抜けるバターの芳醇な香り……。レーズンやクランベリーなどがふんだんに入ったバゲットで、噛むたびに滋味深い小麦の美味しさに気づかされ、それからしばらくパンばかり食べ続けた。

 Zopfのパン・オ・フリュイを食べて、その記憶が蘇ってきた。ブルーベリー、クランベリー、胡桃などが余すところなく隅々までたっぷりと詰め込まれているバゲット。残念ながら幼少期に食べたバゲットの店はもう存在しないが、パン・オ・フリュイの食感といい形といい、幼い頃の記憶にあるバゲットと、驚くほど何もかもが酷似している。まるで、初恋の相手に数十年ぶりに再会したかのようであった。

 バゲットを少し厚めに切り、クラストが焦げてカリカリになるまでトーストする。オーブンから甘い香りが漂ってくるので、早速熱々のところをとりだし、昔から愛用しているカルピスバター(有塩タイプ)を表面に薄く塗りたくる。個人的に無塩ではなく有塩タイプが好みで、フルーツとクラムの甘さとバターのしょっぱさが絶妙に合い、何ともいえないハーモニーを奏ではじめる。ほかにも、職場の同僚から頂いた大西ファームのバーニャカウダーを塗ってみたが、にんにくのピリッとした辛さと香りが甘さを引き立てていた。柚子胡椒オイルはよくやるので、バーニャカウダーも是非レパートリーに加えたい。

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 Zopfのパンで個人的に最も好きなのは、ゲズンドという雑穀パン。(江古田パーラーのくるみパンに似ている。)小麦粉、ライ麦粉、はと麦、発芽玄米、マルチシリアル、きび糖、天日塩、パン酵母などの豊富な原材料が使われており、栄養素的にも抜群。とうもろこし、ヒマワリ、燕麦、アマニ、グリッツやゴマなどの栄養価の高い穀類がふんだんに散りばめられていて、独特の穀物(とくにライ麦粒)の甘さと滋味深さをつくりだし、いろんな味や食感を生み出している。噛めば噛むほど、口の中でいろんな味がして、穀物同士が化学反応をうみだし、小宇宙を形成している。たとえば、低糖質ダイエットでお馴染みのLawsonのブランパン(ふすまパン)が数年前から流行っているが、栄養素的にもダイエット的にも、このゲズンドに勝るパンって存在しないんではないかな、と思う。

 おすすめの食べ方は、ゲズンドにレタスやトマトなどの野菜とマリボーやサムソーなどのチーズを挟み、その上に炒めたベーコンを乗せる、というもの。先週は、薄く切ってクラストをこんがりと焼き、マリボーとレタスとハムを挟んで食べた。ふわっと柔らかいクラムの食感が美味だった。ほかにも、ゴルゴンゾーラドルチェという青カビタイプの柔らかいチーズを塗って焼いてみたら、ブルーチーズ特有の癖もなく風味も穏やかで、非常に美味しかった。フロマージュフレやブリヤサヴァランフレなども試してみたい。どんなチーズを入れても違和感がなく、雑穀の滋味深さがより増すように思えるあたり、ゲズンドというパンの凄いところかもしれない。