Cashew books

本を貪るのは好物のカシューナッツを食べるのに似ている

比内地鶏の親子丼

秋田旅行の途中、駅で食べた比内地鶏の親子丼。前日からろくに食べていなかったせいか、これが箆棒に美味しく感じた。胃袋が満たされて、その日は結局夜も何も食べなかった。以前の栄養管理を過剰に気にしていた頃と違い、だいぶ自堕落になってきた。 今年は…

追憶の老舗喫茶――浅草「アンヂェラス」

簡素でありながら上品で奥深い味。(いや、簡素「であるがゆえ」に上品なのかもしれない……)浅草の老舗喫茶「アンヂェラス」のマロンパフェの生クリームをスプーンで掬ったときの、滑らかな舌触りに驚く。昔、ここで知人とチョコレートパフェを食べたことが…

失敗作であるはずの梅酒

梅酒は毎年浸けているが、2年前にブランデーで浸ける際、氷砂糖の配分を間違えてしまったことがあった。だから、いつものラベルも貼らずに、「失敗作」という付箋を巻き付けておいた。 だが、その梅酒を恐るおそる味見してみたら、意外と美味しい。もしかし…

ピロシキの宇宙

サンクトペテルブルクから帰国した友人が、本場式に拵えた手づくりのピロシキを持ってきてくれた。僕の方も、作り置きしていたボルシチ風の煮込み物だとか、イチジクやレーズンなどをラム酒で浸けてアイスクリームを作ったものに、アーモンドスライスを薄く…

Clammbon

久しぶりにClammbonへ。煙突から上がる白煙、古くなった壁に並ぶ絵画、隙間なく棚に並べられたCDと白い陶器、年季が入ってくすんだ店内ーー。ここは学生時代、盛岡で初めて入った喫茶店だった。もし人生で閉店しないで欲しい店を5店ほど選べるとしたら、間違…

深夜焼肉の誘惑

GWは東京や新潟へ行ったり、地元で過ごしたりしたが、旅行先に住む友人や帰省する友人と会うとなると、決まって深夜まで遊び耽ることとなる。焼肉を食べたり、ファミレスへ行ったりするのだが……、そこで待っているのが「深夜メシ」における禁断の悦楽であ…

大槌城址

きょうは、4月下旬とは思えないほどの蒸し暑さだった。外の温度計は、31℃という数字を映し出していた。 知人と大槌城址付近を散策。桜の花も殆ど散ってしまい、新緑の若葉が青々しい。いまや城内には誰の姿もなかったが、2週間ほど前なら大勢の花見客で賑…

魅惑の鶏ハラミ丼

先日、知人の地元を訪れ、昔ながらの食堂で特産品の鶏ハラミを食べた。貝のようなこりこりした食感だが、しっかりと鶏の脂の旨味も感じられ、噛めばかむほどに口のなかに旨味がひろがっていく。しんなりとした葱との相性も抜群で、絡み合う甘い醤油ベースの…

みたらし団子の奥深い旨味

先日、近所の喫茶店でみたらし団子を食べたのだが、至福の時間だった。まず、みたらし団子が運ばれてきた瞬間、皿から湯気が立上り、一瞬にして周りが良い香りに包まれた。これまで、私は湯気の出ているみたらし団子にお目にかかったことがなく、また、これ…

コリアンダーの春雨サラダとスープ

知らない間に、庭のコリアンダーが白い花を咲かせていた。白く可憐な状態であれば、この花も食べることができるので、早速収穫する。(コリアンダーは、根も茎も実も全て食べることができるので、非常に魅力的な食材。私の狭い想像を超えた、多種多様な楽し…

県庁食堂の味噌ラーメン

じつは、数日前に夏風邪を引いてしまった。鼻水と咳が止まらないうえに、39度近い高熱に魘されるという悪循環に陥ってしまう。しかも、忙しい時期で深夜まで残業する日もあったりして、絶対に休めない状況だった。 そういう状況にあって救われたのが、食堂の…

十三湖しじみらーめん@本町

昨日、クォーターへ水カンのライブを観に行く。次々と繰り広げられる予測不可能なパフォーマンス。つねに期待値に+αで返す、というインプロヴィゼーションの才能は天才的だと思う。期待の範疇を逸脱し破壊するエイリアン的なパフォーマンスなのに、一方で「…

鯉の甘煮

先日、ニテコ名水庵で鯉料理を食す機会があった。久しぶりに甘煮、鯉こく、あらい、たたきを堪能した。生臭い鯉の後味を想像していたのに反し、すべてが淡白な味だった。たたきも上品な味噌の香りがするし、あらいの刺身も全く生臭くない。甘煮も生臭みがな…

吉田屋@大月

先日、山梨の富士吉田市へ訪れる機会があり、吉田屋の肉きんぴら月見を食べた。麺は田舎風の極太手打ちうどんで、茹でキャベツ、馬肉、きんぴら、生卵などが載っている。前々からこのような郷土料理が吉田にあることは知っていたが、味が想像しづらく実体が…

大人のクロワッサンダマンド

足繁く通っているベーカリーがある。パンだけでなく、ふだん見ることのない世界各地の珍しいオーガニック食品を多々取り扱っており、好奇心を満たしてくれる。 いつも決まって購入するのが、クロワッサンダマンド。最初に食べた時、強烈なラム酒の香りに魅せ…

花椿

世間では2度目のプレミアムフライデーでも、私は深夜の帰宅。それどころか、休日出勤というオマケまで。(そもそも、年度末なのに早く帰れる人はどのくらいいるのか……) 土曜の仕事は早めに切り上げて、和菓子屋に併設されたカフェへ。手前にディスプレイ…

The Clever Rain Tree

年度末ということで土曜出勤する。僭越ながら、昇任祝いということでお花やお菓子などを頂いたりして、大変有難かった。 勤務先の近所にある和菓子屋で知人とお茶をする。和菓子屋なのにランチプレートというのがあるらしく、注文してみることに。俵型のおむ…

京華@むつ

大湊の京華で「帆立味噌貝焼き」を食す。じつは、味噌貝焼きを探して下北名産センターにも寄ったが、冬季期間は残念ながら食堂は休業しており、食べられなかった。 味噌貝焼き(みそかやき)とは帆立の身、豆腐、葱、海藻などを味噌を加えた出汁で煮込み、鶏…

司バラ焼き大衆食堂@十和田

以前から、司バラ焼き大衆食堂という店名をよく耳にする機会があった。仄聞するところによれば、「十和田バラ焼きゼミナール」という市民団体が十和田市の名物・バラ焼きを通じて町おこしの活動を行っており、そのアンテナショップとして知られるのがこの大…

魚喰いの大間んぞく@大間

下北半島をドライブすることになり、本州最北端・大間の碑まで辿り着く。早朝にもかかわらず、既に数名の先客がおり、記念写真を撮っていた。自分たちも、せっかくなので真似してみることに。といいつつ、じつは、「記念写真」というのが、(風景と人物を同…

遠野の産直にて

2週間ぶりの休み。職場でお世話になっているT庁の方(仮にT氏とする)をお誘いし、遠野までドライブする。あいにく大雪の日で、恐るおそる凍結した路面を走る。T氏は窓から車を眺めながら、「このあたりは皆スタッドレスですね、都会ではスタッドレスなんて…

海沿いの定食屋のかつ丼

海沿いに、ぽつんと建っている年季の入った建物がある。1階は畜産会社の事務所になっていて、2階が定食屋である。店内に入ると、先客はいなかった。ランチはかつ丼定食かローストビーフ定食の2種類あり、知人がかつ丼を頼んだので私もあやかった。 700円…

月の輪@紫波

肌寒くなってきたのに、なぜか季節外れのジェラートを食べることに。酒粕×クリームチーズが半々ずつ、しかも伝統ある酒造が作った商品とあってかなり濃厚。残念ながら、寒すぎたのもあって最後まで食べきることができなかった。 おもえば、今夏は全くアイス…

Backstube Zopf@松戸

ハード系のパンとの出逢いは、小学生の頃だった。東京の親戚が買ってきたバゲットをトーストしてバターを塗って食べたところ、余りの美味しさに衝撃を受けた。やや焦げめのクラスト、もっちりしっとりとして弾力のあるクラム、鼻から抜けるバターの芳醇な香…

中勘助『蜜蜂・余生』

休日にビアガーデンで頼んだ、白身魚フライ付きのカレー。カレーと白身魚のフライの組み合わせは初。 白身魚にスプーンを入れると衣はサクッとして、身はふっくらとして柔らかく、ほんのりと甘味も感じる。肉よりも上品で、海の香りも広がるので、個人的に肉…

薩摩芋餅、立食いそば

職場の近くに、若い女性が切盛りしている小さなカフェがある。珈琲などの飲み物やロコモコなどのランチだけでなく、なぜかお餅や雑煮にも力を入れている。 新メニューに薩摩芋のお餅というのがあったので、試しに注文してみる。驚いたのは、たれがしょうゆ味…

飛島のいか塩辛

塩辛い、というのが飛島の塩辛を初めて食した時の第一印象。あまりの塩辛さに、酸味のある梅干を食べた時のように口が窄んでしまった。何だこれは、世の中にこんなに塩辛い食べ物が存在するのか、という驚きで呆然とし、箸が進まなかった。 ある日、絹ごし豆…

村田沙耶香『コンビニ人間』

久しぶりに、神保町のミロンガ・ヌオーバを訪ねた。学生の頃、神保町でバイトしていたが、甘い蜜に引寄せられるように、ミロンガの入口扉をよく開けた。学生の身分にしては敷居が高かったが、重厚な扉を開けた先にひろがる、タンゴの流れる店内の仄暗い雰囲…

橋野食堂@釜石

どこまでも素朴なラーメンである、――釜石ラーメンを食べるとそのように感じさせられる。 「釜石ラーメン」は、透き通ったスープと極細縮れ麺が特徴といわれる。最近は、カップ麺化されるなど商業的な動きも広まっているが、東北地方の人々がイメージする「中…

煮干しの楽観@立川

山梨滞在の帰りに、ホリデー快速富士山号に乗車した。土休日のみ運行されており、河口湖駅から新宿駅までを乗換えなしで移動できるので非常に便利。今回、河口湖駅から乗車し、本来は新宿で降りるべきだったが、あえて立川で降りた。約2年ぶりに、楽観(青…