Cashew books

本を貪るのは好物のカシューナッツを食べるのに似ている

比内地鶏の親子丼

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 秋田旅行の途中、駅で食べた比内地鶏の親子丼。前日からろくに食べていなかったせいか、これが箆棒に美味しく感じた。胃袋が満たされて、その日は結局夜も何も食べなかった。以前の栄養管理を過剰に気にしていた頃と違い、だいぶ自堕落になってきた。

 今年は3つも大病を患い、視界はくるくる回るわ、足は槍で突かれるようだわ、口を塞がれるように息が出来なくなるわの災難な年だった。逆に経験していない病気の方が少ないんじゃないか、と同級生の医者に冗談めかしていわれた。レントゲンも何度撮ったか知らない。ラヒリの「ビビ・ハルダーの治療」という短篇で、レントゲンのほかに写真なんか撮ってもらったこともない、という愚痴があったことを思い出す。

 友人に誘われて、神田松之丞の講談の千秋楽公演を聴いた。ステージから5列目中央の良席で、尋常ならぬ迫力だった。特に、南部坂雪の別れは時代劇で観たのとは印象が異なり、目の前で披露される講談から新たな世界を想像することができた。講談は平面的で、映像と違って変な次元のねじれがない分、始終集中していられる。語ることと演じるという行為との違いについてしばらく考えていたが、講談はある種インタープリターであり、トランスレーターでもあり、巫女に近いのかもしれない。

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