Cashew books

本を貪るのは好物のカシューナッツを食べるのに似ている

琳派コレクション

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 秋田近代美で細見美術館琳派コレクション。若冲《雪中雄鶏図》が見れなかったのは残念だったが、代わりに後期は若冲の《糸瓜群虫図》を拝めた。主役が奇形の糸瓜である面白さがあり、周りの生き物が細部まで精密に描かれることで、糸瓜のおかしさが尚更引き立っていた。しかも、きれいな糸瓜ではなく、虫食いの跡のみられる糸瓜を題材にしたあたりに、若冲の自然を愛でる眼差しを感じた。

 神坂雪佳については、芳中の抽象のゆるさに通じるアヴァンギャルドさを感じたものもあったが、琳派的な作風の方が個人的に好きだった。いかに琳派とモダンデザインの間で懊悩したかが伝わってきたが、一緒に行った友人いわく、そのモダンデザイン的な部分が苦手らしかった。

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 若冲の自然観って、どこかで同時代人のキーツに通じるところがあるかもしれない。奇を排除するのではなく、むしろ積極的に描きこむという姿勢は、神秘性や不確実性をも包摂し、豊かな彼岸世界というものを想起させる。見る側を神秘の境地へといざなうのも、<生きとし生けるもの>の多様な生の総体のひろがりを感じるからだろう。

 ちなみに、どうでもいいが、このブログの名前を「万有回」にしたのは、『エンディミオン』の訳「万有の知見に到りゆく神秘の扉」からとった。 R1.11.5"Cashew books"に改名しました。カシューナッツが好きなのでテキトウに。当初、読書ログとしてブログをはじめたものの、全く本について書いていなかったので。少し暇なときに本について書きたいなぁ、とか。(書きたいなぁ、と思ったことはないですが……←ハスミン風)

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