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万有回

主に趣味の読書について綴っていければと思います。「昭和の残り滓」といわれる世代。

煮干しの楽観@立川

 山梨滞在の帰りに、ホリデー快速富士山号に乗車した。土休日のみ運行されており、河口湖駅から新宿駅までを乗換えなしで移動できるので非常に便利。今回、河口湖駅から乗車し、本来は新宿で降りるべきだったが、あえて立川で降りた。約2年ぶりに、楽観(青)というラーメン店へ行きたかったからである。

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  前回は醤油ベースの琥珀を食べたので、今回は塩ベースのパール(特製)にした。特製と通常との違いは、チャーシュー1枚、味玉、海苔のトッピングがあること。以前、具材がチャーシュー、メンマ、玉ねぎしかなく若干味気ない思いをしたので、せっかくの機会だと思い、少し背伸びをしてみた。

 結論からいえば、私は「琥珀」よりも「パール」派。(私はふだんレンゲを使わないので)器を持ち上げてスープを顔に近づけてみたところ、店内の照明の光がスープの艶を浮かび上がらせ、その輝きは、まさに「パール」という言葉でしか表現できないような印象であった。

 スープを口に含むと、まずオリーブオイルの香味が口内に拡がり、その後で煮干だしのコクが感じられる。とはいっても、動物系の生臭さは全くなく、さっぱりとした洋風仕立てのスープに仕上がっている。これだけシンプルなスープの中にこれだけの艶とコクがあるからには、おそらく魚介系の具材を使用しているのかもしれない。まるで、脳はブイヤベースのような、魚介のエキスとしてのスープを飲んでいるかのように錯覚した。

 しかし、どうしてもそのスープの奥行きを邪魔してしまうのが、この玉ねぎだった。あえて玉ねぎが粗みじん切りにされているのは、器でスープを口に入れるときにスープが隙間から流れるようにするためか、とも邪推した。個人的に、こういう油分のあるスープをレンゲで掬い取るのは不適であると感じるため、極力使用したくない。玉ねぎをみじん切りにしてふんだんに載せたラーメンを八王子系というらしいが、その八王子系のコンセプトとこのオリーブオイル仕立てのスープがどこまで噛み合っているのか、少々疑問に感じた。

 チャーシュー、メンマ、味玉などの具材については、頬が落ちるくらい絶品だった。バーナーで炙られたチャーシューは、程よく味が染みていて柔らかく、それでいて肩ロースのしっかりとした歯応えを感じさせる。(ただ、以前よりも明らかにチャーシューが小ぶりになっているような気がした。これは、店頭に貼られていた写真と較べると、一目瞭然ではないかと思う。)メンマや味玉についても同様で、程よい柔らかさで、スープと同調しながら素材の味を感じられる味付けになっている。

 それから、ストレートの中細麺もコシがあって喉越しもよく、食べ応えがある。この麺の細さと歯応えが素材を活かしているわけで、個人的に最も気に入った点である。たとえば、これを縮れ極細麺などにしてしまうと、スープに絡んでしまって、変な油分を凝集させてしまう気がする。つるっと麺を吸い込んでしまいたくても、特にオリーブオイルを使用したスープの場合、油分との関係でアンバランスになるのではないかという懸念も生じる。

 非常に美味しいラーメンで、至福の時間を過ごすことができた。ただ、そうであればこそ、どうしても「玉ねぎ」が載っていることの意義というものを考えてしまう。これが八王子系の文化といわれれば素直に頭を垂れるしかないが、必ずしもこの一杯になくてはならないものであるとは思えない。そもそも、八王子系というコンセプトが初めにありきで、このラーメンは誕生したのだろうか。とまれ、機会があれば、是非とも次は「楽観(赤)」を訪うことにしたい。

 それにしても、このお店の立地は分かりにくい。私の場合、錦町一丁目付近から高架下をくぐり、そこから左に坂を上ったので尚更。怪しげな看板が目を引く、カプセルホテルの一階にある。全く知らない人の眼には、怪しいお店に吸い込まれていく人間に見えたりするかもしれない。

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